単純過去と接続法半過去
直説法単純過去・接続法半過去
直説法単純過去と接続法半過去は、どの動詞も語幹は同じで、語尾が違うだけ です。そのため、セットで覚えると効率的です。
直説法単純過去も接続法半過去も、3 つの活用タイプ( a 型、i 型、u 型)があります。どの動詞も、この 3 つのうちのいずれかのタイプの活用をします。
直説法単純過去と接続法半過去は、日常会話ではほとんど使用しません。
ですから、日常会話だけできればいいという人は、あまり覚える必要はありません。
しかし、新聞・論文・小説など、硬い文章を読む場合は、避けて通ることはできません。
直説法単純過去と接続法半過去の意味・用法については、文法編の「直説法の8時制 (5) 単純過去」と「条件法・接続法」を参照してください。
第 1 群規則動詞は、すべて a 型の活用になります(語尾が主に a または â で始まります)。
直説法単純過去
語尾 donner je
tu
il
nous
vous
ils-ai
-as
-a
-âmes
-âtes
-èrentdonnai
donnas
donna
donnâmes
donnâtes
donnèrent
接続法半過去
注意点:第 1 群規則動詞の場合、1 人称単数では、この直説法単純過去の語尾は ai で、直説法半過去の語尾は ais であるため、違いは s の有無だけです(donner の例では、それぞれ je donnai と je donnais)。
【カタカナ発音】
donner (与える、ドネ)の単純過去:「ジュ ドネ、チュ ドナ、イル ドナ、ヌー ドナーム、ヴー ドナートゥ、イル ドネール」
donner (ドネ)の接続法半過去:「ク ジュ ドナス、ク チュ ドナス、キル ドナ、ク ヌー ドナスィオン、ク ヴー ドナスィエ、キル ドナス」
第 2 群規則動詞と、一部の不規則動詞は、i 型の活用になります(語尾が i または î で始まります)。
直説法単純過去
接続法半過去
語尾 | finir | faire | |
que je que tu qu'il que nous que vous qu'ils | -isse -isses -ît -issions -issiez -issent | finisse finisses finît finissions finissiez finissent | fisse fisses fît fissions fissiez fissent |
注意点:第 2 群規則動詞の場合、単純過去の単数形は、直説法現在の単数形とまったく同じ形になります(この例では、finir の単純過去の単数 je finis, tu finis, il finit は、現在形とまったく同じ形)。
【カタカナ発音】
finir (終わる・終える、フィニール)の単純過去:「ジュ フィニ、チュ フィニ、イル フィニ、ヌー フィニーム、ヴー フィニーットゥ、イル フィニール」
faire (行う、フェール)の単純過去:「ジュ フィ、チュ フィ、イル フィ、ヌー フィーム、ヴー フィーットゥ、イル フィール」
finir の接続法半過去:「ク ジュ フィニス、ク チュ フィニス、キル フィニ、ク ヌー フィニスィオン、ク ヴー フィニスィエ、キル フィニス」
faire の接続法半過去:「ク ジュ フィス、ク チュ フィス、キル フィ、ク ヌー フィスィオン、ク ヴー フィスィエ、キル フィス」
一部の不規則動詞は、u 型の活用になります(語尾が u または û になります)。
直説法単純過去
語尾 | avoir | être | |
que je que tu qu'il que nous que vous qu'ils | -usse -usses -ût -ussions -ussiez -ussent | eusse eusses eût eussions eussiez eussent | fusse fusses fût fussions fussiez fussent |
不規則動詞でも語尾は規則的です。
以上の 3 つのどの型でも、アクサン・シルコンフレクスがついて â, î, û となるのは、単純過去では nous, vous の時、接続法半過去では il の時です。
特に I 型と U 型では、3 人称単数は
アクサン・シルコンフレクスがなければ単純過去
アクサン・シルコンフレクスがあれば接続法半過去
になりますので、注意してください。
【カタカナ発音】
avoir (持っている、アヴォワール)の単純過去:「ジュ、チュ ユ、イ リュ、ヌー ズューム、ヴー ズューットゥ、イル ズュール」
être (~である、エートル)の単純過去:「ジュ フュ、チュ フュ、イル フュ、ヌー フューム、ヴー フューットゥ、イル フュール」
avoir の接続法半過去:「ク ジュス、ク チュ ユス、キ リュ、ク ヌー ズィスィオン、ク ヴー ズュスィエ、キル ズュス」
être の接続法半過去:「ク ジュ フュス、ク チュ フュス、キル フュ、ク ヌー フュスィオン、ク ヴー フュスィエ、キル フュス」
その他の重要な動詞の直説法単純過去・接続法半過去
主な不規則動詞の直説法単純過去(と一部、接続法半過去)を、以下で取り上げます。
接続法半過去は、語尾(赤字の部分)を変えるだけで作ることができます。
【豆知識】
commencer は第 1 群規則動詞と似ていますが、語尾 a, o の前では c にセディーユがついて ç となります(カ、コと読ませずにサ、ソと読ませるため)。
直説法現在では nous の活用で c が ç になりますが、単純過去では第 1 群規則動詞と同様に a 型になるため、語尾が a で始まるすべての人称(3 人称複数を除く)で c が ç になります。
【カタカナ発音】
commencer (始まる・始める [英語 begin] ):
「コマンセ」
「ジュ コマンセ、チュ コマンサ、イル コマンサ、ヌー コマンサーム、ヴー コマンサートゥ、イル コマンセール」
【豆知識】
dire (言う)の直説法現在と比較してください。dire の直説法現在と単純過去は、単数形(je dis, tu dis, il dit)が完全に同じ形になります。どちらの時制であるかは、前後の文脈で判断するしかありません。おまけに、3人称単数 dit は過去分詞とも同じ形です。
mettre (置く)の je, tu の単純過去 mis は、mettre の過去分詞と同じ形です。
【カタカナ発音】
dire (言う [英語 say] ):
「ディール」
「ジュ ディ、チュ ディ、イル ディ、ヌー ディーム、ヴー ディートゥ、イル ディール」
mettre (置く [英語 put] ):
「メットル」
「ジュ ミ、チュ ミ、イル ミ、ヌー ミーム、ヴー ミートゥ、イル ミール」
【豆知識】
voir (見る)の単純過去と vivre (生きる)の現在は、たまたま単数形が同じ形になります(je vis, tu vis, il vit)。どちらの意味かは、文脈で判断するしかありません。
venir (来る)は i 型の変形で、i の後ろに n が入ります。
【カタカナ発音】
voir (見る [英語 see] ):
「ヴォワール」
「ジュ ヴィ、チュ ヴィ、イル ヴィ、ヌー ヴィーム、ヴー ヴィートゥ、イル ヴィール」
venir (来る [英語 come] ):
「ヴニール」
「ジュ ヴァン、チュ ヴァン、イル ヴァン、ヌー ヴァンム、ヴー ヴァントゥ、イル ヴァンル」
【豆知識】
prendre (取る)の je, tu の単純過去 pris は、prendre の過去分詞と同じ形です。
【カタカナ発音】
prendre (取る [英語 take] ):
「プランドゥル」
「ジュ プリ、チュ プリ、イル プリ、ヌー プリーム、ヴー プリートゥ、イル プリール」
que je que tu qu'il que nous que vous qu'ils | dusse (dussé) dusses dût dussions dussiez dussent |
【豆知識】
この devoir だけ、接続法半過去を併記しておきます。
devoir の接続法半過去の je の活用 dusse は、倒置になった場合は語末の e にアクサン・テギュがついて dussé-je という形になります。 ⇒ 例文
【カタカナ発音】
devoir (しなければならない [英語 must] ):
「ドゥヴォワール」
単純過去:「ジュ デュ、チュ デュ、イル デュ、ヌー デューム、ヴー デュートゥ、イル デュール」
接続法半過去:「ク ジュ デュス(デュセ ジュ)、ク チュ デュス、キル デュ、ク ヌー デュスィオン、ク ヴー デュスィエ、キル デュス」
(追加予定)
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